1998年にアメリカ・ハリウッドで誕生して以来、世界の様々な分野で活躍する現役一流デザイナーやクラフトマン達が決められた枠にとらわれることなく、名を伏せて自由に自己表現ができる場所(ブランド)として発足されたブランドがGHOST(ゴースト)。
デザイナーズ・ブランド全盛時代に、第一線で活躍していたアーティスト達が、「名声はいらない。作品を見てその素晴らしさを共感してもらえればいい。」という考えのもと、あえて名前を公表せずにスタートしたのがこのブランド名、ゴーストの由来である。
誕生してから長年変わっていない “SIMPLE IS THE BEST”をスローガンに、「品質」を第一に時代の流れを取り入れながら変貌を遂げてきたゴーストのアイテムは、各分野の卓越した者達によって、シルバーやゴールド、そしてレザーという自然が生み出した素材に、長年の経験によって培われたアイデアやデザイン、そしてギミックを注ぎ込んで作られている。
しかし、ゴーストが始動し始めてから2年経った2000年には、オリジナルメンバーの1人であったStanley Guess(スタンリー・ゲス)の名が公表され、その品質の高さを証明したと共にゴーストは業界を賑わせたのだった。
1stコレクションのARMOR(アーマー)とPAHNTOM(ファントム)、続いてリリースされたいわくのスカルシリーズ等、スタンリー・ゲスが製作を手掛けたゴーストの製品は今となっては貴重なコレクターズアイテムとなっている。その後も世界の様々なクラフトマン達が参加し、生み出されているコレクションはそれぞれのクラフトマン達の特色が色濃く反映されているが、「高品質」という一貫したコンセプトは頑なに守られ続けている。
現在GHOSTはARMOR、PHANTOMに加え、PYRAMID、LOVE LINKS、WIRY、HOLLYWOOD ETERNITY等の幅広いコレクションを展開する一方、ラグジュアリーなコレクションを有するHOLLYWOOD STAR JEWELRYやクリスタルを中心とした天然石ビーズからなるROCKS BY GHOST等の独立したコレクションも展開している。
今日までその全てが謎に包まれていたブランド、それが“GHOST”だった。そこには1998年発足以来、様々な分野の人々が携わり、その活動も不定期にそしてとてもアンダーグランドなところで行われてきた。しかし、3年目に突入する2001年を前に、その中核となる人物で設立当初より製作に携わってきた人物が、ついにその名を公表することになった。
それは設立当時には全く予想もされるはずもなかったことだが、時代が変化する中その後起こった数々の出来事と、また今後のシルバー界における大きな改革をも意味することにも繋がるであろう。また、その名の公表は20世紀の終わり、ここ2~3年の間に過熱したシルバー・アクセサリー・ブームの総清算にも繋がる一大事になりかねないことでもある。事実、この人物こそがこの時代の核となったブランドの中心人物の、知る人ぞ知る陰の立役者(影武者)だったからである。そしてもちろん今日まで、そしてこれからも“GHOST”の商品を安心して購入して頂く為に、そのクォリティーの高さをとりわけ理解し、納得してもらいたいという意図も含まれている。
この度20世紀最後に“GHOST”からニューリリースされるSterling Silver(スターリング シルバー)製の ZIPPOには、はっきりとその人物の名が刻まれている。それは今世紀その人物が培ってきた全ての技術の集大成とも言える作品に仕上がっており、更に驚くことに天然木にも関わらずその断面がヒョウ柄に見える木片を、何の違和感もない程スムースにZIPPOの表面に埋め込んでいる。また、その横には今世紀中様々な拘束により日の目を見ることのできなかった製作者の魂が込められたスカルが、オーナメントとしては不気味にもその目から光を放っているのである。これはおそらく彼のそれまでいた死の世界からの蘇りを意図しているのかもしれない。
そしてこの「偶然と必然」の組み合わせにより生まれたZIPPOの数はたったの13個にすぎない。よって、今後二度と同じものが作られるはずもないであろうこのZIPPOの裏には、1つ1つに限定数とシリアルナンバーが、そして“made for ghost by stanley guess”という文字が、製作者自らの手で彫り込まれているのである。これまでの間長年沈黙を貫き通してきた人物に、とうとうその名を公表するに至らしめたことが何よりもこの作品の価値を物語っているのではないだろうか。
事実、昔ながらの伝統ある高級ブランド品でない限り、高額な商品を手にされる方の多くはその製作者の存在に惹かれるものである。なぜなら、作り出される物の多くはその製作者の生活の中から生まれてくる必需品であり、その者のライフスタイルをも映し出すべきものだからである。
今でこそ数々のブランドによって作られているスターリング・シルバー製のクリップも、もともとはスタンリー自身が「人と同じ物は大嫌い。持つなら人よりも格好いいものを持ちたい。」という発想から、ただ金物屋で売っていたクリップをスターリング・シルバーで作り変えたことがこのクリップの誕生秘話でもある。この発想こそがこの業界を発展させてきた根源であるとするならば、まさしくスタンリーはこの分野のオリジネーターと言える。そしてこれまで影武者の立場を貫いていた人物の表舞台への登場は、同時にこれまで何人もの人物があたかも自分が彼の立場であったかのようなことを公言し、様々な論争までもが繰り広げられてきたことへの終止符となるであろう。
つまりは、“GHOST”こそがその真実を知っていた。そして21世紀は“GHOSTの蘇り”から始まることになる。